ヘンリー・ジョーンズ (作家)

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ヘンリー・ジョーンズ

ヘンリー・ジョーンズHenry Jones1831年11月2日 - 1899年2月10日)は、イギリス文筆家キャヴェンディッシュ(Cavendish)の筆名でホイストをはじめとするカードゲームやスポーツについて書いた。また、テニスのルールの確立やウィンブルドン選手権の成立にも大きな働きをした。

音声学者ダニエル・ジョーンズは甥[1]

生涯[編集]

ヘンリー・ジョーンズは医者のヘンリー・D・ジョーンズの長男としてロンドンに生まれ、はじめは父の職業をついで、1852年から16年間開業医として働いたが[2]、のちに文筆業に専念した。

トランプ[編集]

ホイストのファンであった父の影響でトランプゲームに親しみ、いくつものクラブに所属していた[2]。クラブのひとつである「キャヴェンディッシュ」の名で1862年にデ・ラ・ルーから出版したホイストの本『The Laws and Principles of Whist』はホイストの標準的な教科書として20版をこえるベストセラーになった。ほかにピケエカルテ英語版の本も書いた。

テニス[編集]

1868年にウィンブルドンオール・イングランド・クローケー・クラブが創立したとき、ヘンリー・ジョーンズは、いとこのワイトモア・ジョーンズとともに創立者のひとりだった[3]。1875年にジョーンズはクローケー用のコートのひとつを当時発明されたばかりのローンテニス(今のテニス)のために使用することを提案し、それが採用された[4]。このクラブでウィンブルドン選手権を行うことが決定されると、当時まちまちだったテニスのルールを統一するため、ジョーンズとジュリアン・マーシャル、C・G・ヒースコートの3人からなる小委員会にルール作成の権限が与えられた[5]。ジョーンズは1877年の第一回ウィンブルドン選手権大会の主審をつとめた[6]

主要な著作[編集]

脚注[編集]

  1. ^ Collins & Mees (1998) p.2
  2. ^ a b ブリタニカ百科事典第11版
  3. ^ ティンゲイ(1982) pp.26-27
  4. ^ ヒースコート(1997) p.97
  5. ^ ヒースコート(1997) p.99
  6. ^ ヒースコート(1997) p.100

参考文献[編集]

  • “Jones, Henry”. ブリタニカ百科事典第11版. http://www.gutenberg.org/files/40956/40956-h/40956-h.htm#ar25 
  • ランス・ティンゲイ 著、結城肇 訳『写真で見るテニスの歴史 - 栄光のアーティストに刻まれた繁栄の歴史』ベースボール・マガジン社、1982年。ISBN 4583021305 
  • C.G.ヒースコート 著、水越久哉 訳「ローンテニス」、表孟宏 編『テニスの源流を求めて』大修館書店、1997年、83-112頁。ISBN 4469263753 
1890年刊の原著の抄訳。
  • Collins, Beverly; Mees, Inger M. (1998). The Real Professor Higgins: The Life and Career of Daniel Jones. Mouton de Gruyter. ISBN 3110151243